投資の特徴
気骨のハンズオン
経営支援も単純に素晴らしいノウハウだけを移植しようとしてもうまく行かないケースが多々見受けられます。ノウハウを頭ごなしに強要するのではなく、現場が心底理解した上で実行されるかどうかが改善の成否の重要なファクターとなります。当グループは長年の経験に基づき、役職員の目線に立って同じ立場で経営を考える必要性を熟知しており、その結果経営のノウハウの移植がスムーズに実行されることを理解しています。社内には門外不出の「ハンズオンの掟」なるルールが存在しており、当グループのメンバーは投資先での発言の仕方や振る舞い方まで徹底して指導されています。 そのような方針の上で、「見える化」、「考える化」、「実行する化」の3つのポイントを約3~4年にかけて改善することで、「IPOにも堪え得る筋肉質な経営体制」を構築してまいります。
- 投資後1年目見える化
- 月次決算の精緻化を行い、経営に必要な指標(KPI)の洗い出しと共有を行う。
- 投資後2年目考える化
- KPIに基づいた、PDCAサイクルを全社ベースで実行し、成功・失敗要因の分析と改善案の提案ができるレベルになる。
- 投資後3年目実行する化
- PDCAサイクルに基づいて提案された改善案や新規ビジネス等を実際に実行し、結果に繋げられるレベルになる。
経営改善アプローチ
「IPOにも堪え得る(上場会社にも準じる)筋肉質な経営体制」の構築を支援していくこと
IPOができる経営体制①『見える化』
『見える化』=正しい現状認識のための数値情報把握
経営管理に必要な情報・データを数値で示し、業績に関する現状認識が正しくできる仕組を作ること
- 決算体制
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- 精緻かつタイムリーな決算データの整備
- 管理会計制度
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- 経営管理に必要な粒度の損益構造とKPI*1の把握
- ITインフラ
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- 人による作業を介しない情報・データの集約、アウトプット
(*1)KPI(Key Performance Indicators):主要業績評価指標
『見える化』に必要なこと
- 決算体制
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- 決算体制(月次・四半期・年次)の整備
- 月次決算の精緻化・迅速化
- 決算処理方法の確立(決算仕訳、調整勘定の統一)
- 財務データと実態の整合性確認
- 税務会計から財務会計への転換
- 連結財務諸表の作成
- 決算体制(月次・四半期・年次)の整備
- 管理会計制度
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- 収益構造の分解とKPI設定
- 部門別損益・商品別損益等、管理単位の細分化
- 原価計算制度によるコスト管理の見直し・再構築
- ITインフラ
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- 生産・在庫・販売システムの見直し・再構築
- 上記業務系システムと連携した経理システムの構築
『見える化』事例
IPOができる経営体制②『考える化』
『考える化』=数字に基づくロジカルな経営
『見える化』により把握した数字に基づくロジカルな分析を行い、本質的な課題の認識及び解決策の立案ができる体制を作ること
- KPIによる経営管理
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- KPIの目標設定
- KPIモニタリングによる業績月次分析・予実管理
- 経営会議の活性化・高度化
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- 月次分析に基づく経営課題の認識及び解決施策の立案
- 合議型の経営会議の確立
『考える化』の具体例
- KPIによる経営管理
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- ファクトデータの分析によって、顧客セグメント別・商品別等の収益構造を明らかにする
- いくつかの重要なKPIに関して、予算比・前年比の実績と乖離要因を、経営陣が共有する
- 経営会議の活性化・高度化
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- 実績を踏まえた翌月の改善施策が、各部署から経営会議に報告される
- 分析結果に基づき、経営会議で協議した結果、即座に次なる打ち手を講じられる
- オーナーの独断ではなく、分析に基づき経営陣で協議した結果、施策が決定される
IPOができる経営体制③『実行する化』
『実行する化』=現場への浸透力
現場が自ら考えて実行できる仕組みを作ること
- 職務と権限
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- 権限を委譲しながら、個々人の権限で考えて行動できる仕組み
- 業務フロー体制
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- 明確な職務と権限の中で日々行われる業務フロー体制
- インセンティブ制度の導入
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- 会社利益の最大化を役職員個人レベルまで浸透させるためのインセンティブ制度
『実行する化』に必要なこと
従業員個々人がどのように会社に貢献しているかを知り、それが公正に評価される仕組み作り
- 職務と権限
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- 組織的な会社運営のための社内諸規程の整備
- 現場の機動性を勘案した権限裁量の明確化
- 業務フロー体制
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- 職務と権限に見合った各種業務フローの見直し・再構築
- 内部統制の構築による相互牽制の仕組み
- インセンティブ制度の導入
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- 最大公約数で納得できる人事制度の導入
- 従業員のモチベーションを維持向上させる成果型人事制度
- 企業文化・企業風土に根ざした人事制度
- 最大公約数で納得できる人事制度の導入
投資メンバーからのメッセージ
- 当社におけるハンズオンの最大の特徴は、「現場と一緒に考え一緒に汗をかく」の一言につきます。大株主もしくは取締役として月に一度の役員会の報告を聞くだけでは投資先企業における真の課題を理解するのは難しいですし、現場の実務や苦労を深く知らずして本当に有意義な提言や支援ができるとは我々は考えていません。(伊藤 尚毅)
- 当グループメンバーのバックグラウンドは、商社ほか事業会社、金融機関、コンサルティング会社、弁護士・公認会計士など多岐に亘ります。案件検討においては、バックグラウンドの異なるメンバー同士が専門性を発揮しつつ多面的に案件を精査するため、投資検討会議はかなり白熱します。なお、その検討過程では、常に投資実行後のハンズオン要素を見出すことを意識して進めていることも大きな特徴の一つです。(石神 俊彦)